利賀演劇人コンクール2013
『紙風船』
2013年7月31日
作 岸田國士
演出 豊永純子
紙風船の中には必ず誰かの息が吹き込まれている。 見えないけれど。
あのひとが優しく吹きいれた魂が、確かにそこにある。
戯曲『紙風船』は大正15年、 岸田國士によって書かれた若い新婚夫婦の会話劇である。
本公演では、戯曲中にいくつかの根拠を見つけ 「妻を若くして亡くした老人の、最期の妄想」として演出した。
人間は、肉体の死をもって、初めて永遠の生を授かる。 亡者の記憶を抱えながら生活を続ける人がいる限り、 亡者の幻影も存在し続けるからである。 老衰した夫が最期の瞬間に、若くして息を引き取った妻の幻影と会話をしている。 夫の死をもって、本当の意味で妻もこの世から消える。
演じるということも、まさしく「生者と亡者の会話」であるという考察を元に 実験的に、かつ戯曲に忠実に描いた新解釈『紙風船』となった。
出演
夫 遠山陽一
妻 中村貴恵
照明 青山崇文
音響 中島有城
舞台監督 青木規雄
テクニカルアドバイス 宮田公一
小道具 佐藤茜
演出助手 福田英城 松原優子
富山県利賀芸術公園、利賀山房にて／60分
